【6月20日 AFP】内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の創設者、ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)容疑者が19日午後、在ロンドン(London)エクアドル大使館を訪れてエクアドルに政治亡命を求めた。同大使館とエクアドル外務省が明らかにした。スウェーデンでの性犯罪容疑で英国で逮捕されたアサンジ容疑者は、英国の裁判所でスウェーデンに移送する決定が下されていた。

 これについてアサンジ容疑者は不服を申し立てていたが、英最高裁判所は14日、不服申し立てを却下して14日以内にアサンジ容疑者を移送するよう命じ、アサンジ容疑者の英国における法的対抗手段は尽きていた。制度上、アサンジ容疑者の弁護士は英国の法廷で公正な審理が行われなかったことを理由に、6月28日までにフランス・ストラスブール(Strasbourg)にある欧州人権裁判所(European Court of Human RightsECHR)に訴えることはできる。

■エクアドルは検討中

 エクアドル大使館は、エクアドル政府は亡命を認めるか検討中であり、その間アサンジ容疑者を大使館で保護すると発表すると同時に、このことをもってエクアドル政府が英国やスウェーデンの司法手続きに干渉していると解釈してはならないと強調した。同大使館はその後、この件を国際法に沿う形で処理するため英国、スウェーデン、米国の意見を求めると発表した。

 2010年に米国の外交公電や軍事秘密を暴露したアサンジ容疑者は同年12月、スウェーデンでの性犯罪容疑でロンドンで逮捕された。英国では足首にタグを付け、毎日警察に報告することが求められるなどその行動に厳しい制約が課されていた。

 アサンジ容疑者は、スウェーデンに移送されると最終的に米国に移送される恐れがあると主張していた。ウィキリークスに文書を渡した米陸軍のブラッドリー・マニング(Bradley Manning)上等兵は米国で訴追されている。

 エクアドル政府は2010年、アサンジ容疑者に居住権を認めていた。キント・ルーカス(Kintto Lucas)外務副大臣は当時、エクアドルはアサンジ容疑者を国内に呼び、ウィキリークスが明らかにした米国がとったとされる行動についてエクアドル国内で自由に情報発信して欲しいと話していた。

 アサンジ容疑者は今年4月には、ロシアの国際テレビ放送RTの番組のために、エクアドルのラファエル・コレア(Rafael Correa)大統領のインタビューも行っていた。(c)AFP/James Pheby