【6月16日 AFP】これまで数年間、森の中に住んでいたが、自分はどこの誰だか分からないと語って昨年9月に独ベルリン(Berlin)の市役所に助けを求めてきた少年が、実は家族に黙って家を出たオランダの若者だったことが明らかになった。

 15日のベルリン警察の発表によると、若者は自分が作り話をしていたことを認めた。これに先立ち、この若者は20歳で、住所がオランダ北西部の街ヘンゲロ(Hengelo)にあることを、AFPが取材した現地警察も確認していた。

 若者は2011年9月に実父と継母に行き先を告げずに実家を後にし、両親は警察に息子が失踪したと届け出ていた。

 その直後と思われる9月5日に若者はドイツの首都ベルリンの市役所に現れ、自分の名前が「レイ(Ray)」ということと、誕生日が1994年6月20日だということしか分からないと訴え、助けを求め、前年8月に父親が急死するまでの5年間、2人で森の中に住んでいたと語った。若者の主張する誕生日に従えば年齢は17歳と思われた。

 また若者は英語と片言のドイツ語で、父親が急死したので森の中に遺体を埋葬した後、「北に向かって5日間歩いて」ベルリンにたどり着いたと語ったが、警察が捜索したものの該当する遺体は見つからなかった。

 若者の話に疑問をもったベルリン警察は12日、若者の写真を公開し、身元確認のための情報提供を一般に求めた。

 この結果、ドイツ国境に近いオランダの人口8万人の街ヘンゲロで現地警察が受けた若者の友人からの情報が、ベルリン警察へもたらされた。若者の父親は今年初めに死亡しており、現地警察では継母に連絡を取り、身元が確認された。(c)AFP 【関連記事】「僕は誰?」 森に住んでいた身元不明少年、警察が写真公開 ドイツ