【5月10日 AFP】昨年全米に拡大した抗議行動「オキュパイ・ウォールストリート(Occupy Wall Street、ウォール街を占拠せよ)」に参加したユーザーの個人情報を提供するよう命じた裁判所命令を米マイクロブログサービス、ツイッター(Twitter)が拒否している。

 ツイッター側は7日、米ニューヨーク(New York)州の裁判所に異議を申し立て、ユーザーの個人情報の提供を命ずる裁判所命令は、ツイッターに連邦法違反を強いるものであり、かつツイッターへの書き込みに関するユーザー自身の所有権を否定するものだと主張した。

 当局がツイッターに提供を命じているのは、昨年「オキュパイ・ウォールストリート」のデモがニューヨークのブルックリン橋(Brooklyn Bridge)を渡った際に治安紊乱(びんらん)行為を行った罪に問われて起訴されたマルコム・ハリス(Malcolm Harris)被告の個人情報。

 ツイッターの裁判所命令拒否について、米国自由人権協会(American Civil Liberties UnionACLU)は8日、言論の自由を守る行動だと賛辞を贈った。

 ACLUの弁護士、エイデン・ファイン(Aden Fine)氏は「連邦政府あるいは州や市などの法執行機関は、人々のインターネット上の活動に関する情報を入手するためにますます侵略的になってきている。個人のインターネット・ユーザーが自分たちの権利を守ることができるとすれば、情報が(当局に)渡る前にそうした命令があったことを知った場合だが、そうしたケースは少なく、(権利擁護にとって)十分でない」と述べている。

 ハリス被告は4月、裁判所の強制令状に異議を申し立てたが、担当した裁判官は、インターネット上に保存されているデータは物理的な所有物ではなく、従って物理的所有物と同様の保護は適用されないとして却下した。またこの裁判官は、ツイッターの投稿やユーザー情報には、そのユーザーに関する多くの情報が含まれているが、「ツイッターはいかなるユーザーに対しても完全なプライバシー保護を保証してはいない」とも述べた。

 しかし、ツイッター側は今回、ユーザーには自分の投稿やその他個人情報に関する権利があり、ツイッターのサービス利用規約にもそのことは明確に記されていると反論している。(c)AFP