【4月22日 AFP】米科学アカデミー(National Academy of SciencesNAS)は18日、現在までの死刑研究では、その殺人抑止力効果について肯定、否定、いずれの結論も導くことはできないとした報告書を発表した。

 報告書はNAS傘下の米国学術研究会議(National Research CouncilNRC)が発行したもの。NRCは、死刑とその抑止効果を検証する委員会を主催している。

 委員を務める科学者らは、死刑に関する調査を過去35年間さかのぼって検証した。だが、死刑によって殺人発生率が減少、増加、または全く影響がなかったか、いずれの結論を導くにも情報が不十分だとの見解に達した。

 また報告書は、殺人発生率の増減などが死刑政策の判断に影響を与えてはならないともしている。

 これまでの研究における決定的な欠点の1つは、釈放なしの終身刑と殺人発生率の関係との比較がされていないことだ。

 さらに、潜在的殺人犯は死刑となる可能性を考えて行動するはずだなどという先入観が、過去の研究で妨げとなってきた。

 報告書は、潜在的殺人犯の死刑観や、それが行動におよぼす影響などを測る、より厳密な調査が必要だと指摘。将来的に推奨する研究手法として、殺人に対する処罰として死刑とそれ以外の刑罰を考慮したデータ収集や、様々な刑罰に対する潜在的殺人犯の見方を検証することなどを挙げている。(c)AFP