【3月1日 AFP】米国で2001年9月11日に発生した同時多発テロ事件で攻撃を受けた4か所のうち、米国防総省本庁舎(ペンタゴン)で亡くなった犠牲者の遺体の一部がごみ処分場で処理されていたことが、同省の調査で初めて明らかになった。

 29日のノートン・シュワルツ(Norton Schwartz)米空軍参謀総長の会見によると、ごみ処分場で処分されたのは、国防総省本庁舎の倒壊現場で見つかった遺体の一部。

 28日に同省が発表した報告書では、ペンシルベニア(Pennsylvania)州シャンクスビル(Shanksville)のハイジャック機墜落現場で収容された遺体も含まれるとされていたが、シュワルツ参謀総長は「ニューヨーク(世界貿易センター)やシャンクスビルで亡くなった人たちの遺体は該当しない」と明言した。

■不祥事の再調査で発覚

 9.11犠牲者の遺体が不適切に処理されていた問題は、米軍要員の遺体安置所となっているデラウェア(Delaware)州のドーバー空軍基地(Dover Air Force Base)で前年発覚した、イラクとアフガニスタンでの戦死者の遺体をめぐる「粗雑な管理」について行われた再調査の過程で判明した。

 軍当局は前年、兵士の遺体の一部が同基地内で火葬された後に、バージニア(Virginia)州にあるごみ埋め立て処分場へ送られていたことを把握した。この事実に遺族らは怒りをあらわにし、再発防止策が講じられた。

 2008年以降、軍当局では身元が判明しない兵士の遺体は火葬し、海で散骨すると定めている。しかし28日に発表された報告書は、これら兵士の遺体と同様に、米同時多発テロの犠牲者の遺体の一部も処分場に送られていたと指摘した。それらの犠牲者の遺体は火葬後、密閉容器に入れられ、医療廃棄物の処理業者に引き渡されたという。なお処分場の場所については言及されていない。

 報告書の作成を主導した米陸軍のジョン・アビザイド(John Abizaid)元将軍は報道陣に対し、どれだけの9.11犠牲者の遺体が関わっているかは不明で、さらに「調べる方法すらも分からない」と述べた。(c)AFP

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