【2月9日 AFP】米カリフォルニア(California)州の連邦裁判所が、水族館で芸を披露する動物は奴隷制度と強制的苦役を禁じた米憲法第13修正で保護されるのかという、米国史上初となる判断を下そうとしている。

 この問題を提起したのは国際動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」だ。2011年10月、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)とフロリダ(Florida)州オーランド(Orlando)のマリンパーク「シーワールド(SeaWorld)」でアクロバットを披露しているシャチ5頭の代理人として、同パークでの「雇用」継続は米憲法第13修正に違反するとして、サンディエゴの連邦地裁に訴えた。

 PETAは裁判所に対し、5頭が「合衆国憲法第13修正に違反して奴隷状態に置かれ、その意に反する苦役を被告(シーワールド)によって強いられている」ことを確認し、原告(シャチ)を被告の施設から、それぞれのニーズと最大利益を勘案した適切な生息地へ移動させるための法定後見人を任命するよう求めている。

 5頭には、2010年に調教師を襲って死なせた後、PETAが「小さなコンクリート製の水槽に完全に隔離」されているとしている、シャチの「ティリクム(Tilikum)」も含まれている。

 シーワールド側は、第13修正は人間だけを対象にしているとして、訴えを却下するよう裁判所に求めるとともに、「シャチの福祉は海洋哺乳類保護法や動物保護法など、数々の連邦法と州法で守られている」と主張している。

 6日に双方の主張を聞いたジェフリー・ミラー(Jeffrey Miller)判事は、後日判断を下すことになっている。(c)AFP

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