【2月3日 AFP】チリ警察は今週、同国南部パタゴニア(Patagonia)地方にあるホルヘ・モント氷河(Jorge Montt Glacier)から氷を盗もうとした犯罪グループの捜査を開始した。

 前月30日、チリ森林公社(CONAF)が、首都サンティアゴ(Santiago)の南方1700キロにあるホルヘ・モント氷河から氷が盗まれたと告発。これを受けて南部都市コクラン(Cochrane)の警察当局が、氷5トンを積載したトラックを急襲し運転手を逮捕したと、現地日刊紙エル・メルクリオ(El Mercurio)電子版は報じている。

 コクランの検察当局によると、運転手には窃盗の容疑がかけられているが、文化財に対する罪も追加される可能性がある。警察では、この氷の価値を計6200ドル(約47万円)相当と見ており、共犯者の有無を探っている。

 前年12月に科学者らが発表した報告によると、総面積454平方キロメートルのホルヘ・モント氷河は現在、年間1キロメートルのペースで融解が進んでおり、地球温暖化の実態を如実に示す指標の1つとなっている。

 ホルヘ・モント氷河がある南パタゴニア氷原(Southern Patagonian Ice Field) は、チリとアルゼンチンにまたがる総面積1万3000平方キロメートルの氷原で、凍結した陸塊としては南極大陸、グリーンランドに次いで世界で3番目に大きい。(c)AFP