【1月13日 AFP】米コネティカット大学(University of Connecticut)は12日、同大所属の教授について、科学専門誌11誌に発表した赤ワインの健康効果を主張する論文に100を超えるデータの改ざん・捏造があったことが明らかになったとして、懲戒解雇したと発表した。

 同大が「145か所のデータの改ざん・捏造が明らかになった」と糾弾したのは、同大医療センター外科部門に所属していたディパク・ダス(Dipak Das)教授で、同センター循環器病研究所のトップでもあった。

 同大では、ダス教授の論文に不正が疑われるという匿名の通告を受け、2008年から3年をかけて同教授の論文を調査してきた。これまでに同大は、ダス教授の論文が発表された科学専門誌11誌に書簡を送り、また同教授への連邦政府の研究費助成費89万ドル(約6800万円)の受け取りを辞退した。

 1984年から同大に所属していたダス教授は、赤ワインに含まれる抗酸化物質レスベラトロールや潰したニンニクが、心臓の健康に良いとする論文を発表してきた。レスベラトロールには消炎作用や、神経変性疾患や糖尿病に対する予防作用、心臓の健康を促進する効果などがあるとされている。
 
 ダス教授の論文は既に数百の論文に引用されているが、ダス教授自身が投稿したことがあるのは学界でも知名度の低い学術誌ばかりで、レスベラトロール分野全体で読まれているわけではないと、米アルバート・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)のニール・バルジライ(Nir Barzilai)氏は指摘。科学論文撤回をめぐる動きをモニターしている「リトラクション・ウオッチ(Retraction Watch)」に対し、次のように語った。

「レスベラトロールに取り組んでいる研究者は多いが、だからといって全てが解明されているわけではない。とはいえ、ダス教授の研究を元にしては『ローマは成らない』」 (c)AFP