【12月30日 AFP】世界の野生動物取引を監視しているNGO「トラフィック(Traffic)」は29日、過去12か月に象牙が大量押収された件数は、1989年に記録をとり始めて以来最多だったと発表した。2011年は「ゾウにとって身の毛のよだつ年だった」と表現している。

 2011年の大量押収は少なくとも13件、総量にすると23トン以上だった。ゾウの頭数に換算すると約2500頭になる。

 ちなみに2010年の件数は6件、総量は10トン未満だった。2007年以降、象牙の密輸は急増している。

 なお、2011年は、少量の押収数百件も含めると、象牙の密輸に関して過去最悪の年だったと言える。

 密輸される象牙の多くはケニアかタンザニアの港を出て、マレーシア経由で中国かタイに向かっていた。

 密輸急増の背景には、アジアでの需要拡大と密輸組織の手口の巧妙化がある。アジアへの密輸ルートは、途中まで空輸され海上輸送に切り替えられるなど、常に一定ではなく、目的地に到着するとアフリカ発の荷ではないと見せかけるために文書が改ざんされるという。

 大量押収の大半で犯人逮捕に至っていないこともあり、トラフィックは密輸の横行を警戒している。(c)AFP