【8月29日 AFP】1988年の米パンアメリカン(Pan Am)航空機爆破事件で唯一有罪判決を受け、末期がんを理由に釈放されリビアに帰国したアブデルバセト・アルメグラヒ(Abdelbaset Ali Mohmet Al-Megrahi)元受刑者が、首都トリポリ(Tripoli)の自宅で昏睡(こんすい)状態にあり死期が近いと、米CNNが28日報じた。

 CNNはアルメグラヒ元受刑者の所在を突き止め、自宅を取材。元受刑者は家族の看護のもと「酸素と点滴で命をつないでいる」状態。元受刑者の息子はCNNに「ただ酸素を与えているだけだ。誰も助言をくれない。医者もいないし、誰に聞けばいいのか分からない。電話も繋がっていない」などと述べたという。

 アルメグラヒ元受刑者は、1988年12月に英ロンドン(London)から米ニューヨーク(New York)にパンナム機がスコットランド(Scotland)のロッカビー(Lockerbie)上空で爆破され270人が死亡した事件で有罪となり、スコットランドで服役していたが、末期がんで余命3か月と診断され、2009年8月20日に「温情措置」で釈放された。禁錮27年のうち、実際に服役していたのは8年だった。
 
 元受刑者は今年7月、リビアの最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐を支持する集会で、帰国以来2年ぶりに公の前に姿を見せていた。(c)AFP