【8月10日 AFP】ロンドン(London)北部のトッテナム(Tottenham)で若者が警官に射殺された事件をきっかけに6日に発生した暴動は、9日夜には英国第3の都市マンチェスター(Manchester)と中部ミッドランド(Midlands)地方に飛び火した。

 マンチェスターでは、若者たちが店の窓ガラスを割り、商品を略奪。写真を撮ろうとする報道カメラマンが追い払われる光景が見られた。ミッドランド地方のウェスト・ブロムウィッチ(West Bromwich)とウォルバーハンプトン(Wolverhampton)では、覆面をした暴徒らが建物に放火した。

 8日夜に暴動が飛び火した英国第2の都市バーミンガム(Birmingham)では、9日夜にも店の略奪が行われた。

 8日夜の暴動で市内各地が炎に包まれ、ここ数十年で最悪とも言われる騒乱の舞台となったロンドンでは、9日夜に警官がこれまでの6000人から1万6000人へ大幅に増員され、外面的には静けさを取り戻した。ロンドン各地の店は、警察の助言に従い、早々に営業を切り上げてシャッターを下ろしていた。

■射殺された男性、警察に発砲した証拠なし

 そんな中、警察の監視機関は9日、トッテナムでマーク・デュガン(Mark Duggan)さん(29)が警官に射殺された事件に関し、デュガンさんが警官に発砲したことを裏付ける証拠は見つからなかったと発表した。警察は当初、デュガンさんが乗ったタクシーを検問したところ、デュガンさんとの間で発砲の応酬となり、デュガンさんがその場で射殺されたと発表していた。

 デュガンさんの射殺の経緯が物議を醸す中、デービッド・キャメロン(David Cameron)首相は同日、「秩序を回復するために必要なことは何でもする」と宣言。暴徒に向けては、「法の力を存分に思い知ることになるだろう」と警告した。

■逮捕者続出、初の犠牲者も

 ロンドン警視庁によれば、暴動発生から3日間でロンドンでの逮捕者は560人以上にのぼった。また、警官111人が負傷したという。

 なお、ロンドン南部クロイドン(Croydon)で頭に銃弾を受けて入院していた26歳男性が9日、死亡した。警察によると、暴動による初の犠牲者だという。(c)AFP/Guy Jackson