【7月30日 AFP】ノルウェー・ウトヤ(Utoeya)島のサマーキャンプで22日に起きた銃乱射事件に巻き込まれた16歳の少女が、現場から母親と75分にわたって送受信したメールの内容が27日、ノルウェー各紙の一面で公開された。

 サマーキャンプに参加していたユリーさんは、アンネシュ・ベーリング・ブレイビク(Anders Behring Breivik)容疑者(32)が殺りくを繰り広げるなか、岩陰に隠れて携帯電話から46通のメールを母親と交わした。そのなかでユリーさんは「ママ、急いでと警察に言って。みんな次々と死んでるの」と必死に訴えるなど、メールからは緊迫した状況が伝わってくる。

 現地時間の午後5時42分から始まる一連のメールでは、ユリーさんの母親も、娘を落ち着かせようと返信を送り続けている。電話で話せるかと尋ねる母親に対し、ユリーさんは「無理」と答えた後、「頭のおかしい人がうろついて、みんなを撃ってる。早く来てって警察に言って。急がせて」と送信している。

 一方、このメールのやりとりから、ウトヤ島の若者たちが警察のものだと思っていた上空のヘリコプターは、実は救助に来た警察ではなくノルウェーのメディアのヘリだったことも明らかになった。

 以下は、ノルウェー紙、ベルデンスガング(Verdens GangVG)が掲載したメールの一部。

   母「もう警察も事件を知ってるから。電話が殺到してるって。だからユリー、大丈夫よ。警察から電話が来てるの。5分ごとに連絡できる?」

   ユリーさん「OK」

   ユリーさん「死にたくない」

  母「わかるわ。伏せたままでいて、どこへも動かないのよ。警察が向かってるから。まだ着いてなくても、すぐだから。けがしたり、死んでる人はまわりに見えるの?」

  ユリーさん「みんなで海岸沿いの岩陰に隠れてる」

  ユリーさん「パニックにはなってないけど、死ぬほど怖い」

  母「わかるわ。あなたを誇りに思ってる。まだ銃声は聞こえる?」

  ユリーさん「ううん」

  6時15分すぎ:

  ユリーさん「警察が来た」

  母「銃を撃ってる男も警官の格好をしているから気をつけて。今は、どうなってるの?」

  ユリーさん「わからない」

  午後6時30分:

  母「もう話せる?」

  ユリーさん「無理」

  ユリーさん「まだ撃ってる」

  母「いまはテレビも全部、ウトヤの報道よ。気をつけて。できるなら対岸に渡って、おじいちゃんの所にいなさい」

  ユリーさん「わたし、まだ生きてる」

  ユリーさん「まだ銃声が聞こえる。まだ絶対動けない」

  母「それでいいのよ。テレビで、いま人を避難させてるって言ってるから」

  ユリーさん「早く誰か来てほしいのに。どうして捕まえるのに、こんなに時間がかかるの?!!」

  母「対テロ警察が、そっちに行ってるから。銃撃を止めようとしてるわ」

  ユリーさん「OK」

  母「まだ、そこにいる?」

  ユリーさん「うん。ヘリが上空を飛んでる」

  母「じゃあ、見つけてもらえたってこと?」

  ユリーさん「水中に逃げた人たちを探してる。まだ、わたしたちの所には来ない!」

  7時1分:

  ユリーさん「どうなった?」

  母「警察がボートでもウトヤに向かってる。犯人は、どうなったかよくわからないから、落ち着いて。誰かが来るまでそこにいるのよ」

  母「良かった。(警察が)着いたわよ」

(c)AFP

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