【7月26日 AFP】ノルウェーで22日に起きた爆破・銃乱射事件の犯行を認めているアンネシュ・ベーリング・ブレイビク(Anders Behring Breivik)容疑者(32)の父親のインタビューが25日、ノルウェーのテレビ局TV2で放映された。

 元外交官で、現在は仏南部クルナネル(Cournanel)で退職後の生活を送る父親のイエンス・ブレイビク(Jens Breivik)さんは「息子は、こんなにも大勢の人たちを殺すのではなく、自らの命を断つべきだった」と強い調子で語った。

 インタビューはフランスの警官の立会いのもと、陽光降り注ぐイエンスさんの自宅テラスで収録され、イエンスさんの顔が分からないよう映像は後姿だけだった。

 イエンスさんとブレイビク容疑者の母親は、同容疑者が1歳のときに離婚した。息子と15年間、連絡をとったことがないというイエンスさんは「今後、二度と息子と会うつもりはない」と言い切った。実の子どもに対するものとしては厳しい言葉であることを認めたうえで、イエンスさんは「息子は過激主義者になってしまったようだ。精神を病んでいるにちがいない」と語った。

 先に発見されたブレイビク容疑者が10年にわたって書き溜めた計1500ページにおよぶ散文の中では、同容疑者は10代になるまでは、父親と継母とは良い関係を築いていたと記されている。しかし、5年前にブレイビク容疑者のほうから、関係の修復を求めて接触しようとしたところ、父親が健康上の理由などから「精神的な準備ができていなかった」ために失敗に終わったと書かれている。 

 ブレイビク容疑者は「家長としての父親の権威を取り戻すべく法を改正すべきだ」とも論じていた。それによって「父親たちは、母親やマルクス主義の文化形態からの責めや軽蔑を恐れることなく、家庭で子どもに規律や道徳、伝統的規範を教える勇気を再び取り戻すことができる」と自論を展開している。

 また、この自伝的な意味合いの濃い「マニフェスト」の中で、ブレイビク容疑者は継父について「完全に破壊された性的モラルの生ける見本。まさに原始時代の性のけだもの」と評する一方で、「同時に人好きのするいいやつでもある」と書いている。

 ヘルペスから発した髄膜炎を患っているという姉と母親については、「2人とも僕にとって恥であるだけでなく、自分たち自身にとっても、家族にとっても恥だ」と辛辣(しんらつ)に批判し、「フェミニズムと性の革命の二次的影響で、僕の家族は初めから崩壊していた」と記している。(c)AFP