【7月13日 AFP】ルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏の「メディア帝国」を揺るがしている英大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)」の電話盗聴スキャンダルだが、マードック氏率いる米メディア大手ニューズ・コーポレーション(News Corp)はさらに米国でも窮地に立たされようとしている。
 
 米上院商業科学運輸委員会委員長のジェイ・ロックフェラー(Jay Rockefeller)議員は12日、米国内でもニューズ・コーポレーション系列のメディアに対する調査を求める声明を発表した。

 ロックフェラー氏は「米国民のプライバシーは侵犯されていないことを確認するために、適切な機関による調査を働きかけたい。英国でニューズ・コーポレーションが行っていた電話盗聴が、2001年の米国同時多発テロの被害者や、その他の米国民にも行われていた可能性がないか、懸念している。もしもそうしたことがあったとすれば、その結果は非常に深刻なものとなる」と述べた。

 一方、英国ではニューズ・コーポレーションが、英衛星放送大手BスカイB(BSkyB)の完全買収を計画しているが、これを撤回するよう求める英野党の動議を政府与党も支持する構えを見せている。

 さらにゴードン・ブラウン(Gordon Brown)前英首相も、ニューズ傘下の英大衆紙サン(The Sun)が「犯罪者」を雇ってブラウン氏の私的な文書を入手していたと非難。ブラウン氏の息子の病気に関する取材にも、違法な手段が用いられていた疑いが浮上している。

 これに対しサン紙は13日、一面に「ブラウン氏は誤っている――本紙は息子の病歴を調べていない」との見出しで記事を掲載し、反撃した。記事によると、ブラウン氏の息子が嚢胞性線維症であるという情報は、同じ疾患を持つ少年の父親から得た情報で、報道の際にはブラウン氏の許可も得たと反論している。(c)AFP/James Pheby

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