【6月23日 AFP】インドネシアのスシロ・バンバン・ユドヨノ(Susilo Bambang Yudhoyono)大統領は23日、サウジアラビアで雇い主を殺害したとして有罪となったインドネシア人メイド(54)が斬首刑に処せられたことについて、サウジ政府が国際関係上の「規範と礼儀」を破ったと国民に向けたテレビ演説で非難し、「最大限の抗議」を行うと述べた。

 一方、国営アンタラ(Antara)通信がムハイミン・イスカンダル(Muhaimin Iskandar)労相の話として伝えたところによると、インドネシア政府は22日、自国民がサウジアラビアへ出稼ぎに行くことを禁止する措置を8月1日から実施することを決めた。この措置は、サウジアラビア政府がインドネシア人労働者の人権保護に関する覚書に署名する日まで有効だという。

 インドネシア当局によると、18日に処刑されたこのメイドの女性は、サウジアラビア人の雇い主にインドネシアへの里帰りの許可を求めたが認めてもらえなかったため、雇い主を殺害したと供述していたという。

 処刑を受けて、インドネシア政府はサウジアラビア政府に強く抗議。インドネシア議会は21日、人権の保証が確約されない限り自国民を海外に送り出すことを禁止すべきだと政府に提言した。また、インドネシア人労働者が海外で度重なる虐待を受けている問題をめぐって、ユドヨノ内閣の一部閣僚が辞任を余儀なくされている。

 サウジ政府は22日、女性の処刑をインドネシア政府に前もって伝えていなかったことを謝罪した。

 なお、サウジアラビアでは別のインドネシア人メイドも、2007年12月にイエメン人の雇い主を殺害したとして死刑判決を受けている。このメイドは、レイプされそうになったために殺害した正当防衛だと主張している。インドネシア当局によると、雇い主の遺族は女性が今年7月までに200万リヤル(約4300万円)の賠償金を支払えば赦免すると述べており、インドネシア政府がこの賠償金を肩代わりするという。(c)AFP