【6月10日 AFP】(写真追加)パキスタン最大の都市カラチ(Karachi)で8日、州民兵組織の兵士が丸腰の男性を盗みの容疑で射殺する一部始終がテレビで放映された。

 事件は、カラチ市内の高級住宅地クリフトン(Clifton)にある公園で、警備にあたっていた兵士らが、警察官の家族から金品を盗もうとした疑いで22歳の男性を至近距離から銃で撃ち、そのまま放置して死亡させたもの。警察は翌日、男性を撃った兵士らを逮捕したと発表したが、人権活動家らの間に衝撃が広がっている。

 テレビで流れた映像には、5人の兵士が男性を取り囲む様子が映っている。そのうちの1人は銃口を若者の首筋にあてている。「撃たないでくれ」と嘆願する男性の手足に、兵士は銃を撃ちこんだ。

 撃たれた男性は、その場に倒れ、周りで見ている兵士らに病院に連れて行ってほしいと懇願するうちに大量の出血で気を失った。

 この動画の撮影者は不明だが、映像は国内テレビで繰り返し放映され、動画投稿サイト、ユーチューブ(YouTube)にも投稿された。

 9日に営まれた射殺された男性の葬儀には数百人が集い、「警備兵は人殺しだ」と怒りの声をあげた。

 テレビの記者だという男性の兄によると、撃たれて死亡した男性は学生で、家計を支えるために仕事を探していたという。「弟は礼節ある男で犯罪歴など全くない。彼が泥棒だなんて容疑は、全くばかげている」。また、暇をつぶしに公園に行っただけの弟を兵士らが銃で撃ち、見殺しにしたことに怒りを示し、「われわれが求めるのは正義だ」と述べ、公正な捜査を求めた。(c)AFP/Hasan Mansoor