【6月2日 AFP】米カンザス(Kansas)州に移住したアフリカ移民男性が、1994年のルワンダ大虐殺に関与したと訴えられていた裁判で、同州ウィチタ(Wichita)の陪審法廷は5月31日、ラザレ・コバガヤ(Lazare Kobagaya)被告(84)に対し、虐殺への関与ではなく、米移民官への虚偽申告で有罪との評決を下した。

 ルワンダ移民のコバガヤ被告(84)は、1994年のルワンダ大虐殺で、ツチ人数千人の殺害に関与したほか、少なくとも9人の殺害を指示したとして起訴されている。

 ルワンダ大虐殺では、フツ人の強硬派民兵組織などが3か月間にわたってツチ人とフツ穏健派約80万人を殺害した。コバガヤ被告はフツ人だ。

 コバガヤ被告はルワンダから1997年に米国へ移住し、10年後に米国籍を取得している。

 検察がアフリカから呼び寄せた証人たちは、ルワンダ大虐殺でコバガヤ被告が住民の殺りくや家屋への放火を指示したと証言した。

 コバガヤ被告がルワンダで犯した罪を、米国の裁判所で裁くことはできないが、ルワンダ虐殺への関与を否定したことが移民官への虚偽報告にあたると確定すれば、移民法違反で国外退去処分となる。コバガヤ被告の家族は、ルワンダへの送還は死刑に等しいと訴えていた。

 コバガヤ被告の裁判では、12人からなる陪審団のなかでも意見が割れ、評決に達するまで長期間を要した。最終的には、虐殺や暴力行為への関与ではなく、コバガヤ被告が、1993年から1995年の間はルワンダではなくブルンジにいたと移民官に偽った申告をしたことが罪に当たるとの判断を下した。

 これに対し、被告側の弁護団は、検察側の証人たちは、金銭や減刑と引き換えに被告に不利な証言をしたと主張し、証言の有効性を疑問視した。ルワンダでは好条件と引き換えに偽証をすることは頻繁にあるという。

 コバガヤ被告の弁護士によると、高齢の被告は、健康上の問題を抱えており、歩行もつえに頼る状態だという。(c)AFP/Joe Stumpe