【5月25日 AFP】米連邦最高裁判所は23日、米カリフォルニア(California)州の刑務所が慢性的に過密状態となっている問題について、問題の解決には受刑者を釈放するしかないと判断し、カリフォルニア州に受刑者を釈放するよう命じた。

 最高裁は賛成5、反対4の僅差で、下級審の判決を支持する判断を下した。その理由として、刑務所の過密状態は、残酷で異常な刑罰を禁じる米国憲法に違反し、これを解決する唯一の手段は受刑者を釈放することだと説明した。

 だが反対した1人、アンソニー・ケネディ(Anthony Kennedy)判事は判決を「言語道断」と切り捨て、数日間で刑務所内暴動が2件も発生したばかりのカリフォルニア州も判決への失望を表明した。

 膨大な財政赤字を抱えるカリフォルニア州では、受刑者であふれかえる刑務所の過密状態も問題となっている。カリフォルニア州の統計によると、合計定員がおよそ8万人の州内33か所の刑務所に、14万8000人の受刑者が収容されている。

 同じく反対したアントニン・スカリア(Antonin Scalia)判事は、「とんでもない結果を回避すべく、最高裁もできうる限りの努力をした」と話す一方で、最高裁命令によって重罪を犯した受刑者4万6000人が釈放される可能性があり、悪い結果を招くのではないかとの懸念を示した。

 20日には州都サクラメント(Sacramento)にある最高度の警備態勢が敷かれた刑務所で、受刑者150人あまりが暴動を起こし、少なくとも2人の受刑者が刺される事件が起きている。暴動の収拾に警備員は催涙スプレーや実弾を用いた。

 さらに22日夜にも、サンクエンティン(San Quentin)刑務所の食堂で暴動が発生。受刑者が切り傷や刺し傷を負う事態となった。(c)AFP/Lucile Malandain