【5月11日 AFP】中国政府は10日、人口計画出産委員会の関係者が、1家庭の産児数を制限する「一人っ子政策」を悪用して子どもたちを人身売買していた疑いについて、調査を始めたことを明らかにした。

 中国誌「財新(Caixin)」が、湖南(Hunan)省の同委員会当局者らが、子どもたちを連れ去り、米国やオランダ向けの養子縁組組織に売り飛ばしていた疑いがあるとの報道をうけたもの。

 財新は、同省では20人前後の子どもたちが、「一人っ子政策」違反との理由で強制的に家族から引き離され、養子縁組組織に売られ海外に引き取られていったと報じている。

■出稼ぎ中に連れ去れた娘、米国で7歳に

 被害にあったある夫婦は、「一人っ子政策」に違反していなかったにも関わらず、夫婦が広東省深セン(Shenzhen)に出稼ぎにいっている間に、初めて生まれた女の赤ちゃんを当局に連れ去られてしまった。夫婦が娘の行方を捜したところ、娘は米国の家庭に引き取られていたことを突き止めた。娘は7歳になっていた。

 湖南省隆回(Longhui)県の役人は、子ども1人につき養子縁組組織から1000元(約1万2500円)、海外への養子縁組が成立した場合には3000ドル(約24万円)を報酬として受け取っていた疑いがあるという。

 人口計画出産委員会の関係者が、「一人っ子政策」を悪用して私腹を肥やしているとの批判は初めてではないが、財新の報道は同政策が不均衡に適用されている実態を改めて浮き彫りにした。

 財新によると、子どもの連れ去り事件は2005年ごろをピークとして、10年あまりにわたって続いたという。

 過去数十年で、養子として海外に出された子どもたちは約8万人に上るとみられ、その多くは米国の家庭に引き取られている。(c)AFP/Robert Saiget