【2月17日 AFP】エジプトの首都カイロ(Cairo)で反政府デモによる混乱のさなか、熟練した泥棒たちがエジプト考古学博物館(Egyptian Museum)に天窓から侵入した――。前月、デモに乗じて貴重な収蔵品が多数略奪された状況について、エジプト考古最高評議会(Egyptian Supreme Council of Antiquities)のザヒ・ハワス(Zahi Hawass)事務局長が16日語った。

 同博物館の目玉であるツタンカーメン王(Tutankhamen)の黄金のマスクは無事だったものの、極めて重要な収蔵品8点を含む多数が略奪された。行方不明になっていた収蔵品のうち3点は敷地内やその周辺で発見された。

 だが、ツタンカーメン像やアクエンアテン(Akhenaton)像などはまだ発見されていない。

 ハワス氏によると、泥棒たちは非常階段を使って博物館の屋上に登り、天窓のガラスを割ってロープを垂らし、ロープを伝って約9メートル下の床に降り立った。「まるで映画のシーンのように」とハワス氏。

 事件に関連してこれまでに9人が軍に拘束され、現在取り調べが行われている。

■古代遺跡と博物館、19日にも再開

 ハワス氏は、現在閉鎖されている古代遺跡と考古学博物館が、19日にも再開される見通しだとし、観光客に対しエジプトに戻るよう呼びかけた。

 エジプトは国内総生産(GDP)の6%を観光が担っている。通常、2月は観光シーズンの最盛期だ。前年度の観光客数は過去最高の1500万人を記録、観光収入は130億ドル(約1兆1000億円)に達した。(c)AFP/Riad Abu Awad