【1月26日 AFP】自転車大国のオランダは、自転車の盗難大国でもある。多くの市民が相次ぐ自転車の盗難に閉口させられているなか、中部アーメルスフォールト(Amersfoort)で、衛星利用測位システム(GPS)を仕込んだ自転車を用いて自転車泥棒を追跡する試みが導入されている。

 人口約14万5000人のアーメルスフォールトでは2010年、自転車900台が盗難にあっている。これは同市で発生した犯罪の10%に相当する。市警察のコーネリー・ホーヘフェーン(Cornelie Hogeveen)報道官はAFPに対し、「自転車泥棒は犯罪であるにも関わらず、見逃されてしまっている」との懸念を語った。

 こうした状況を打開するため、同市警察は前年12月10日から、「自転車おとり作戦」を半年間の予定で試験的に導入した。
 
「自転車おとり作戦」では、GPSの発信装置を仕込んだ自転車を市内各所に放置する。これらの自転車は、見た目は通常の自転車と変わりはない。施錠した自転車もあれば、鍵をかけずに置かれたものもある。

■過去に盗まれた自転車が見つかることも

 これらの自転車が、何者かによって動かされるとGPSが作動し、警察が自転車の追跡を始めるという仕組みだ。

 警察官が到着したときには、すでに自転車泥棒が逃げ去った後ということもあるが、盗難にあった自転車数台を発見できることもあるという。

 ホーヘフェーン報道官は、「自転車を盗むことは、れっきとした犯罪。多くのオランダ人が迷惑している」と言明。自転車盗難の問題は、自分の自転車が盗まれるだけでなく、知らずに盗難自転車を買ってしまう危険もあると、指摘する。

 人口約1650万人のオランダには、推定1800万台の自転車があるが、車両盗難の統計機関によると、2009年に51万5000台の自転車盗難が報告されている。(c)AFP