【10月25日 AFP】フランス・パリ(Paris)近郊の小村ラ・ヴェリエール(La Verriere)で23日、集合住宅の4階に暮らす一家のうち11人が「悪魔から逃げようと」次々にバルコニーから飛び降り、乳児1人が死亡、7人が重傷を負うという奇妙な事件があった。

 数人が集合住宅のバルコニーから飛び降りたとの通報を受けて駆けつけた消防が発見したのは、腕に刺し傷を負った全裸のアフリカ系男性1人と、子ども3人、乳児1人を含む負傷者らで、このうち乳児はパリの病院に運ばれ手当てを受けたが、死亡した。

 検察発表によると、事件が発生したのは同日早朝、この家に暮らす一家のうち13人がテレビを見ていたとき。乳児が泣き出したのを聞いて起きた男性が、全裸のままミルクを作りに行こうとしたところ、その姿を見た男性の妻が「悪魔よ、悪魔だわ!」と叫んだ。

 これを聞いた妻の姉妹が男性の腕を刺し、玄関から男性を追い出した。男性が部屋に戻ろうとすると室内はパニックになり、一緒に暮らしていた家族が次々に窓から飛び降りたという。

 警察によると、2歳の子どもを連れて飛び降りたある男性は、這って2ブロック先の茂みまで移動して身を隠したが、「自分の身を守らなければならなかった」と叫んでいたという。

 捜査では、部屋から幻覚薬の類やオカルト儀式が行われていた形跡は見つかっていない。(c)AFP