【10月6日 AFP】ロンドン(London)の中央刑事裁判所(Old Bailey)で5日、男性使用人に性的暴行を加えて死亡させたとして起訴されたサウジアラビアの王子の公判が開かれた。

 起訴状によると、サウジアラビアのアブドラ・ビン・アブドルアジズ(Abdullah bin Abdulaziz)国王の孫にあたるサウド・ビン・アブドルアジズ・ビン・ナシル・アル・サウド(Saud Bin Abdulaziz Bin Nasir al Saud)被告(34)は、ロンドンの高級ホテル「ランドマークホテル(Landmark Hotel)」のスイートルームで、使用人のバンダル・アブドラ・アブドルアジズ(Bandar Abdullah Abdulaziz)さん(32)に数週間にわたって暴行を加えたのち、今年2月15日に首を絞めて殺害した。

■被害者を血染めのベッドの上で発見

 バンダルさんの遺体は、血で真っ赤に染まったベッドの上で発見された。深い傷が複数あり、ほおには噛まれた跡もあったという。2人はこの部屋に一緒に滞在していた。

 サウド被告の供述によると、事件当日はバンダルさんとホテルのバーで朝まで飲んでいて、部屋に戻って熟睡し、午後に目覚めたときにはバンダルさんは死んでいた。この時のことを「非常にショックだった」と振り返っている。ホテルの従業員やサウジアラビアの大使館員が部屋に到着した時、被告はバンダルさんの服などに付いた血を洗い流しているところだったという。被告は過失致死罪は認めたが、殺人罪や傷害罪については否認している。

 検察側は、サウド被告がロンドンで同性愛者向けエスコートサービスを申し込んでいたり、同性愛者向けマッサージ店などのウェブサイトを頻繁に閲覧していたことを引き合いに出し、バンダルさんの暴行には性的虐待の要素があったと主張した。

 サウド被告は、自分は異性愛者であり、バンダルさんは友人であると供述している。なお、被告はバンダルさんに対し過去にも何度か暴力を振るってきたとされ、今年1月には、同ホテルのエレベーター内でバンダルさんの頭を何度も殴るシーンが防犯カメラにとらえられた。この映像は法廷でも放映された。(c)AFP

【動画】公開されたエレベーターでの暴行映像(Youtube/AFPBB News公式チャンネル)