【10月1日 AFP】米ニュージャージー(New Jersey)州ラトガース大学(Rutgers University)の学生2人が、同性愛者の同級生のラブシーンを隠し撮りしてネット中継し、被害者が自殺する事件が起きた。2人はプライバシー侵害の容疑で逮捕・訴追されたという。同大が学長名による声明で明らかにした。

 同大によると、被害に遭ったのはバイオリンの名手として知られていた同大1年生のタイラー・クレメンティ(Tyler Clementi)さん(18)。米メディア報道によれば、クレメンティさんは前月19日、自室で恋人の男性とキスしているところを、ルームメートのダルン・ラビ(Dharun Ravi)容疑者に隠し撮りされた。その映像はネット上で生中継されたほか、インスタントメッセンジャー・サービス「iChat」で共有された。

 ラビ容疑者は、ツイッター(Twitter)上にも、2人のラブシーンの模様を書き込んでいたとされる。米紙ニューヨーク・ポスト(New York Post)によると、ツイッターの書き込みには「ルームメートが夜、しばらく部屋を出てくれと言ってきた。モリーの部屋に行ってウェブカメラを付けた。男といちゃいちゃしてやがったぜ」などと書かれていたという。

 3日後の22日、クレメンティさんはフェースブック(Facebook)上に「橋から飛び降りる、ごめんね」と書き残し、同日夜にニューヨーク(New York)とニュージャージー州を結ぶジョージ・ワシントン橋(George Washington Bridge)から飛び降り自殺した。

 この事件で、ラビ容疑者とモリー・ウェイ(Molly Wei)容疑者は逮捕された。

 米国では、いじめに最新IT機器やソーシャルネットワーク・サービス(SNS)が利用される例が急増しており、とくに同性愛者の若者らが標的となっている。若者に対するいじめの防止を訴える米団体NVEEEのサンダース(Jowharah Sander)会長によると、同性愛ハラスメントに関連した全米の10代の自殺件数は、前月だけで、今回のものも含めて少なくとも4件発生している。(c)AFP/Sebastian Smith