【9月24日 AFP】(一部更新)沖縄県・尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島)付近の日中両国が領有を主張する海域で7日、中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件で、那覇地検は24日、公務執行妨害で逮捕、送検された漁船の中国人船長を、処分保留で釈放すると発表した。NHKなどが報じた。

 釈放の理由として、那覇地検の鈴木亨(Toru Suzuki)次席検事はテレビ会見で「わが国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、これ以上被疑者の身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断した」と説明。セン其雄(Zhan Qixiong)容疑者(41)について、「計画性は認められず、被疑者には我が国における前科などもないなどの事情も認められる」と述べた。

 NHKは、手続きが済み次第「中国へ送還されることになる」と報じた。

 同日会見した仙谷由人(Yoshito Sengoku)官房長官は、釈放は那覇地検の判断だとして、政治介入を否定した。
 
 しかし野党・自民党からは、世界第2の経済大国の座を明け渡した中国に対し、メンツがつぶれたといった論調の批判がいっせいに噴出。対中強硬派で知られる安倍晋三(Shinzo Abe)元首相は、「極めて愚かな判断だ。中国の圧力に政治が屈した」と厳しく批判したと時事通信は伝えた。(c)AFP/Frank Zeller

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