【8月19日 AFP】メキシコ北部の州で今週初めに誘拐された町長が18日、遺体で発見された。麻薬組織によって殺害されたものとみられる。麻薬組織撲滅を強化している同国で、殺害された自治体の首長は今年5人目となった。

 米テキサス(Texas)州に隣接したヌエボ・レオン(Nuevo Leon)州当局によると、同州サンティアゴ(Santiago)のエデルミロ・カバドス(Edelmiro Cavazos)町長は、腕を縛られ口をふさがれた状態の遺体で、サンティアゴ郊外の道路脇に遺棄されているのが見つかった。

 人口3万5000人の同町で、カバドス町長は組織犯罪に対する徹底的な取り締まりで知られていたが、今週初め、自宅から武装したグループに連れ去られていた。誘拐した男たちは連邦警察の旧式の制服を着ていたという。公にされている限り、身代金の要求はなかった。

 誘拐現場を唯一目撃したカバドス氏のボディーガードは殴られ、車のトランクに閉じこめられて運ばれたが、事件直後に同町郊外の路上で無事、発見されている。

 メキシコでは近年、実入りのよい米国への麻薬ルートの縄張りをめぐり犯罪組織同士の衝突がひんぱんに起こっている。中でも米国と国境を接するメキシコ北部では、ヌエボ・レオン州の州都モンテレイ(Monterrey)などを中心に、麻薬密輸組織「ガルフ(Gulf)」と旧系列組織「セタス(Zetas)」の対立など抗争が激化している。

 フェリペ・カルデロン(Felipe Calderon)大統領が軍を動員した掃討作戦を開始した2006年末以降、同国で麻薬抗争がらみの死者は2万8000人を超えている。(c)AFP

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