【8月4日 AFP】チャールズ・テーラー(Charles Taylor)リベリア元大統領(62)が、英国のスーパーモデル、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)さんにプレゼントしたとされる「紛争ダイヤモンド」。

 武装勢力の支配地域で採掘され、紛争の資金源として違法に売りさばかれる紛争ダイヤモンドは、オランダ・ハーグ(Hague)のシエラレオネ国際戦犯法廷(SCSL)で、テーラー元大統領の公判における最大の焦点となっている。

■チャールズ・テーラーとは

 1997~2003年に大統領職にあったテーラー被告は、1991~2001年のシエラレオネ内戦時代、シエラレオネの反政府勢力「革命統一戦線(Revolutionary United FrontRUF)」に武器を供給した見返りに紛争ダイヤモンドを受け取っていたとされる。03年に反政府勢力により政権の座を追われ、亡命。3年後の06年3月にナイジェリアで逮捕された。

 RUFが12万人を虐殺し、民間人数千人の手足を切断したとされるこの内戦は、近年まれに見る残虐な戦争と位置づけられている。

 テーラー被告は、殺人、レイプ、少年兵の強制徴収、少女の拉致、略奪など、計11の戦争犯罪および人道に対する罪に問われているが、本人はいずれの起訴事実も否認している。なお、国際戦犯法廷で裁かれるアフリカの国家元首は、テーラー被告が初めて。

■裁判の経過

 テーラー被告の裁判はシエラレオネ・フリータウン(Freetown)で開始されたが、同被告の存在がシエラレオネを再び不安定化するとの懸念から、国連(UN)の合意のもと、06年に身柄がハーグに移された。

 09年1月、法廷は、検察側が求める91人の証人の最後の1人を召喚。テーラー被告は同年7月に出廷し、無罪を主張した。

 そして今年6月、法廷は、テーラー被告から紛争ダイヤモンドの贈り物を受け取ったとされるキャンベルさんを証人として召喚することを決めた。ダイヤは未加工のもので、97年9月、南アフリカのネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)大統領(当時)主催の晩餐会の後に受け取ったとされる。

■紛争ダイヤモンド

 検察側は、テーラー被告は、埋蔵量が豊富なダイヤモンドを搾取したいがために、シエラレオネの政治的・物理的な掌握を狙っていたと主張している。 

 テーラー被告は、くだんの晩餐会の舞台となった南アフリカへは、「売却または武器と交換する」目的で紛争ダイヤモンドを持参していたとされる。

 検察によると、晩餐会当日の夜、被告は側近らを介して、ホテルの部屋で休んでいたキャンベルさんにダイヤモンドをプレゼントした。

 キャンベルさんは、「加工してないダイヤなど持ったこともない」とするテーラー被告の主張と食い違う供述をする可能性があり、検察側は期待を寄せている。(c)AFP

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