【7月3日 AFP】米国でロシアのスパイとして摘発された11人の1人で、「美人スパイ」と騒がれているアンナ・チャップマン(Anna Chapman)容疑者(28)の前夫であるイギリス人男性が英紙に対し、同容疑者の父親も旧ソ連国家保安委員会(KGB)のスパイだったなどと発言した。

 チャップマン容疑者と2002年からの4年間、結婚していた前夫、アレックス・チャップマン(Alex Chapman)さん(30)は2日の英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)に、容疑者は自分との結婚中から「スパイとして養成されていたと思う」と語った。

 2人は2001年9月にロンドン(London)のパーティーで出会ってたちまち親しくなり、5か月後にモスクワで挙式した。

 チャップマン容疑者はアレックスさんに、自分の父親ワシリー・クシュチェンコ(Vasily Kushchenko)氏について、かつてはKGBの高官だったことを、「『古いロシア』の情報員だった」という言いまわしで語っていた。

 結婚した2002年、ロシア外交官としてジンバブエにいたクシュチェンコ氏を2人で訪問したが、アレックスさんから見て、義理の父となったクシュチェンコ氏は誰も信用しない、「恐い」人間に見えた。

 ほかの外交官と比べて警護要員が多く、自家用車の4WDの窓には黒いフィルムが張られ、走る際には前後に1台ずつ護衛車がついていた。またこの義理の父親からアレックスさんは、ほかのロシア人はまったく紹介されなかった。

 チャップマン容疑者父娘の関係についてアレックスさんは「彼女の人生のあらゆる面を父親が支配している感じだった。父親のためなら彼女はどんなことでもしそうだった」と述べ、今回スパイとして逮捕されたとの報道にもあまり驚かなかったと語った。

 アレックスさんと会った当時のチャップマン容疑者は自由奔放なタイプだったが、結婚していた4年の間に劇的に変わったという。「まだロンドンに住んでいたときに会ったグループに彼女は影響されていった。性格が傲慢で反抗的になり、いつも会ってくるその『パワフルな人たち』についてばかり話すようになった」。

 アレックスさんはロンドンにいた時に元妻がスパイをしていたとは思わないが、諜報活動ができるよう「養成されていた」と思うと語った。

 英情報機関は現在、チャップマン容疑者がロンドンにいた期間に諜報活動をしていたのか、それともロンドンでロシア対外情報局(SVR)にスカウトをされたのかを捜査している。30日にはアレックスさんも、英情報局保安部(MI5)職員の訪問を受けたという。(c)AFP