【4月2日 AFP】英イングランド北部トラフォード(Trafford)で前月30日、法律で禁じられている16歳未満の子どもに金魚を販売したとして、8か月の法廷闘争の末、66歳の女性に重い罰金刑や電子タグの装着が言い渡された。これを受け、動物愛護法の濫用(らんよう)ではないかとの批判が巻き起こっている。

 トラフォード治安判事裁判所は、16歳未満の子どもに動物を販売した罪で、ペット店を経営するジョーン・ヒギンス(Joan Higgins)さん(66)に罰金1000ポンド(約14万円)と、7週間の夜間外出禁止を言い渡した。これに対し、罰金750ポンド(約11万円)と120時間の社会奉仕活動を命じられた息子のマーク(Mark Higgins)さん(44)は「あまりにも馬鹿げた判決」だと厳しく非難している。

 トラフォード議会は、ヒギンスさんのペット店「メジャーペット(Majors Pets)」が、学習障害を抱えた14歳の子どもにアレチネズミを販売したとの報告を受け、「おとり」捜査に14歳の少年を送り込んだ。検察官によると、ペット店店員は、年齢や飼育方法などを聞かずに少年に金魚を販売したという。

 マークさんは英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)に対し、「これはひどく馬鹿げているし司法の狂気だ。そう議会に伝えた」と語った。さらに、「ママにタグを付けたことに腹が立つ。もうすぐ70歳だよ。なんてことだ。その時間と金をほかのことに使うべきだろうに」と、ジョーンが電子タグの装着を命じられたことも明かした。

 一方、トラフォード議会は、学習障害の子どもに販売したアレチネズミが、コーヒーの入ったカップの中に入れられていたことを指摘。「提示された証拠は、世話をできる年齢になっていない子どもに動物を販売することが無責任であることを明白に示している」とし、起訴の決定を擁護した。

 この出来事は翌31日、英紙がこぞって取り上げた。デーリー・エクスプレス(Daily Express)は見出しに「英国が本当に狂った証拠」と掲げ、「馬鹿げた」英国の法制度と批判している。(c)AFP