【1月11日 AFP】南アフリカ・ケープタウン(Cape Town)に巣くう麻薬組織の親玉、通称「ファット・マーフィ(Fat Murphy)」の一味を摘発した警官たちは、捕物帳の予想外の展開にぎょっとした。取り押さえの最中、何かがマーフィ容疑者の体から落ちたが、それはベルト固定式の人工ペニス、俗に言うペニスバンドだったのだ。

 地元紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)によると、犯罪多発地域として悪名高い、ケープタウン郊外のケープフラット(Cape Flats)地域で組織を牛耳るマーフィ容疑者は、保釈聴聞で自分は両性具有者であり、男性名「ファドワーン」と女性名「ヒラリー」の、男女2つの身分証名書を持っていると供述した。マーフィー容疑者は当初、誘拐および恐喝の容疑で逮捕されたが、これらの一番上に、盗品所持が加わった。

 涙ながらにマーフィー容疑者は「以前は、ペニスを入れることができない女性器があった。それと元から睾丸があった。だけどいつも自分は男だと思ってきたし、わたしが望む性は男だ」と訴えた。

 10代の時に男性への性転換手術を受け、その後、男性の身分証明書を取得したという。両性の生殖器を持っていたことについて、「神がそのようにわたしを創造した。それは神の決断で、わたしが決めたことではない」と話した。

 マーフィー容疑者には2度の結婚歴があり、腕に入れ墨で2人目の妻の名前を彫っている。

 警察によると摘発の際、マーフィー容疑者は9100ランド(約11万5000円)の賄賂を贈るから、引き換えに身体検査をしないでくれと申し出たという。

 警察では、容疑者が性転換手術を受けた記録が残っていないことから、男性の身分証明書を手に入れた経緯について捜査している。

 結局、マーフィー容疑者は300ランド(約3800円)を払って釈放された。(c)AFP