【12月29日 AFP】25日に米デトロイト(Detroit)上空で発生したノースウエスト航空(Northwest Airlines)機爆破未遂事件で、ナイジェリア国籍のウマル・ファルーク・アブドルムタラブ(Umar Farouk Abdulmutallab)容疑者(23)が機内に機内に持ち込んだ爆発物には機体を墜落させるほどの威力があったかどうかについては、専門家の間で意見が分かれている。

 米司法省によると、容疑者はPETNと呼ばれるニトログリセリン系の爆発性粉体「ペンタエリトリトール」を爆発させようとした。2001年12月に、パリ(Paris)発マイアミ(Miami)行きの航空機で、靴の中に隠しもっていた爆発物を爆発させようとして有罪判決を受けた英国籍の「シュー・ボマー」ことリチャード・リード(Richard Reid)が使用したのと同じ爆発物だ。

 アブドルムタラブ容疑者は、爆発物約80グラムが入った約15センチの包みを下着に縫い込み、空港の保安検査をくぐり抜けて機内に持ち込んだが、簡易爆破装置がうまく作動せず、爆発しなかったとされている。容疑者はこの爆発物に注射器で液体の化学物質を注入しようとしたとみられる。目撃者によると、機内で爆竹のような破裂音が聞こえ、窓際の座席に座っていた容疑者のズボンや座席、機内の壁が燃えだしたという。

 米ジョージタウン大学(Georgetown University)のテロ専門家、ブルース・ホフマン(Bruce Hoffman)氏は、爆発物がTNTやプラスチック爆弾よりも強力であり、機内で、特に窓側席に座っていれば少量の爆発物で機体の一部を破壊できたことを考えると、乗客乗員290人を乗せた同機はかろうじて墜落を免れたと指摘している。

 一方、フランスの航空機事故専門家、ビンセント・ファーブ(Vincent Fave)氏は、爆発が起きて機体に穴が開いたとしても、必ずしも機体が分解したり墜落に至るとは限らないと主張している。同氏によると、墜落するか否かは、飛行高度と穴の大きさ、爆薬の威力によるという。(c)AFP/Daphne Benoit