【12月27日 AFP】(写真追加)米捜査当局は26日、前日発生したノースウエスト航空(Northwest Airlines)機の爆破未遂事件で拘束していたナイジェリア人のウマル・ファルーク・アブドルムタラブ(Umar Farouk Abdulmutallab)容疑者(23)を訴追した。同日、米司法省が発表した。

 アブドルムタラブ容疑者は、乗客279人、乗員11人を乗せてオランダ・アムステルダム(Amsterdam)から、米デトロイト(Detroit)に向かっていたノースウエスト航空(Northwest Airlines)のA330型機を爆破しようとした疑いが持たれている。

 容疑者は着陸直後に逮捕され、治療のためアンアーバー(Ann Arbor)のミシガン大学メディカルセンター(University of Michigan Medical Center)に収容された。

■アルカイダから訓練か

 米連邦捜査局(Federal Bureau of InvestigationFBI)は爆破装置の一部と見られる注射器を押収した。FBIの分析で爆破装置にペンタエリトリトール(pentaerythritol、PETN)という爆発性の高い物質が含まれていたことも明らかになった。

 米国のメディアが伝えた捜査関係者の話によると、アブドルムタラブ容疑者は注射器に入った化学物質に、脚にテープで巻き付けていた粉末を混ぜ、機体を爆破しようとしたと供述しているという。また米ABC NewsNBCは別の捜査関係者の話として、同容疑者が今回の事件のために国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)からイエメンで訓練を受けたと供述したと報じた。

■父親はナイジェリアの実業家

 容疑者がナイジェリアのラゴス(Lagos)とアムステルダムの空港のチェックをどのようにすり抜けて、機内に危険物を持ち込んだのかが焦点となっている。オランダ当局は同容疑者が有効な米国のビザを所持していたと発表した。

 容疑者はナイジェリアの裕福な実業家・銀行家のウマルムタラブ(Umaru Mutallab)氏の息子。ナイジェリア紙ディス・デイ(This Day)は、ウマルムタラブ氏は息子が過激な宗教思想に傾倒したことをひどく心配し、今年半ばに米当局に連絡していたと報じた。

 ナイジェリア当局は事件の本格的な捜査を始めた。英国の警察も、アブドルムタラブ容疑者が2005~2008年にロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(University College LondonUCL)で機械工学を学んでいたころ住んでいたとみられるロンドン(London)のオックスフォードサーカス(Oxford Circus)の高級マンションなど数か所を捜索した。(c)AFP/Melissa Preddy