【12月6日 AFP】イタリア警察は5日、2003年に経営破たんした同国食品大手パルマラート(Parmalat)の創業者で、詐欺で有罪判決を受けたカリスト・タンツィ(Calisto Tanzi)氏(70)が隠し持っていた19~20世紀の貴重な絵画を多数押収したと発表した。ANSA通信が報じた。

 警察は同国北部パルマ(Parma)の3か所の家の地下室や屋根裏部屋に分散して隠されていたエドガー・ドガ(Edgar Degas)、クロード・モネ(Claude Monet)、ポール・ゴーギャン(Paul Gauguin)、フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)などの絵画を発見した。いずれの家の住人も絵画には気づかなかったと話している。

 警察は絵画を隠していた容疑でタンツィ被告の義理の息子、ステファノ・ストリーニ(Stefano Strini)氏ともう1人の行方を追っている。

 ストリーニ氏は、パルマラートの破たん前にこれらの絵画はなくなっていたと話していたが、警察による電話の盗聴で、モネの絵画「崖の上の散歩、プーヴィル(Cliff Walk at Pourville)」を1000万ユーロ(約13億5000万円)でロシアの富豪に売却する計画が浮上したことから今回の発見につながった。

 タンツィ氏は、パルマラートで起きた140億ユーロ(約1兆9000億円)の詐欺事件で2008年10月に禁固10年の判決を受けた。小さな乳業会社だったパルマラートは戦後イタリアを代表する食品グループに成長したが、この事件をきっかけに同社はヨーロッパ史上最大の経営破たんに追い込まれた。(c)AFP