【11月25日 AFP】イスラエルの対外特務機関モサド(Mossad)の見習いエージェント(スパイ)が、首都テルアビブ(Tel Aviv)での模擬訓練中に市民に通報され、逮捕されていたことが24日明らかになった。

 各メディアはこのニュースを一斉に報じ、ある番組のコメンテーターはあきれ返った様子で「モサドが国外ではもっと有能であることを祈ろう」と語った。

 この見習いエージェントは23日、テルアビブ市内で車両の下にダミーの爆弾を仕掛けるという暗殺の訓練を行っていたが、これを通行人の女性が目撃。女性は近くを通りかかった警官にこのことを話し、警官がエージェントを逮捕した。警察で尋問された際にこの人物は必死に説明を試み、モサドのメンバーであることがようやく認められたという。

 モサドは、模擬訓練を行う際、リアリティーを持たせるため、警察などへの事前通告は一切行っていない。

■過去の栄光にかげり

 こうした失態は、過去20年間でたびたび発生しており、モサドのかつての栄光は急速に光を失っている。

 1991年には、キプロスのイラン大使館に盗聴器を仕掛けようとしたエージェント4人が現地の警察に拘束された。1998年には、キプロス南部の海軍基地でスパイ活動を行ったとして、エージェント2人が収監された。同じ年、複数のレバノン人の電話の盗聴を試みたとして、エージェント1人がスイスで執行猶予付き禁固刑の判決を受けている。

 最大の失態は1997年に起きた。イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)の幹部、ハレド・メシャール(Khaled Meshaal)氏の暗殺を企てたが失敗。これが、友好国ヨルダンとの国交断絶の危機を招き、和解のために当時ハマスの指導者だったアハメド・ヤシン(Ahmed Yassin)師の釈放に追い込まれた。(c)AFP