【10月26日 AFP】黙り込む者もいれば、優雅な最後の言葉を演説してみせる者もあり、絶望的に無実を訴える者や、残される家族に対して謝罪する者もいる――死刑執行の瞬間、死刑囚の反応はさまざまだ。

 米国における死刑執行にあたっての慣習として、死刑囚は多くの言葉を残してきた。13年間にわたってテキサス(Texa)州の刑務所で95人に死刑執行に立ち会ってきたキャロル・ピケット(Carroll Pickett)牧師は、「ほとんどの者は家族への言葉を残す。無実を訴える者もいた。長い演説を用意しておいて、何も言わずじまいだった者もいる」と話す。

 テキサス州は死刑囚の最後の言葉を集めて保管している州の1つだ。州司法当局の担当官によると、死刑執行に関するできる限りの詳細を公開し、透明性を確保することが目的。死刑囚は刑執行の24時間前に待機房に移動させられるが、その時点から詳細な記録が取られる。

 待機房では、死刑囚は寝てもよいし、手紙を書いてもよい。宗教指導者と語らうのも、「最後の食事」に好きな食べ物を注文するのも、携帯電話をかけることすら許可される。

 それから、鎮静剤を使用するかどうかを問われ、続いて最後の言葉を聞かれる。

 こうした措置に驚く死刑囚もいる。2007年6月に死刑執行されたパトリック・ナイト(Patrick Knight)死刑囚の場合もそうだった。「ジョークを言おうか。死は俺を自由にしてくれる。まったく最高のジョークだよ。まさに俺にピッタリだ」

 今年2月に執行されたジョニー・ジョンソン(Johnny Johnson)死刑囚のように、あらかじめ考えをまとめておく者もいる。「あなた方にはぜひ死刑廃止を訴えてもらいたい」

 しかし、今年4月に執行されたジェームズ・クラーク(James Clark)死刑囚はといえば、「ええと、わからない。うんと、なんて言ったらいいのかわからないんだ」としどろもどろになってしまった。

 大半の死刑囚は、あまり深く考えはしないようだ。05年4月に執行されたダグラス・ロバート(Douglas Roberts)死刑囚は、最後にこんな言葉を残した。「俺が死んだら、地中深くに埋めてくれ。その際、足元には2台のスピーカーを置いて、耳にはヘッドフォンを付け、ロックンロールを流してくれよ。いつか天国で会おう。これだけだよ、看守さん」

(c)AFP/Lucile Malandain