【10月18日 AFP】フランスの裁判所は15日、精子バンクに保存されている死去した夫の冷凍精子を使用して国外で人工授精を受けることを希望していた女性の訴えを退けた。

 訴えていたのは仏西部レンヌ(Rennes)在住のファビアンヌ・ジュステル(Fabienne Justel)さん(39)。2008年6月に結婚した夫のドミニク(Dominique)さんは、その3か月後にがんで死亡した。ファビアンさんとの間に子どもを望んでいたドミニクさんは、自分が末期がんであることを知ると、たとえ自分が死んでも子どもが作れるように精子バンクに精子を保存することを決意したという。

 フランスでは、配偶者の死後あるいは離婚後の人工授精を法律で禁じている。そこでジュステルさんは国外で人工授精を行いたいと考えて裁判を起こした。しかし裁判所は、ファビエンヌさんはフランスの法律を回避しようとしているとして訴えを退けた。ジュステルさんは「悲しいが、この結果には驚いていない」と述べ、上訴する意向を明らかにしている。
 
 フランスで反対を受けているファビアンヌさんは、スペインなどの国では人工授精に関する規制は緩やかだとして、「海外人工授精ツアー」を行う運動を主導している。ファビアンさんには前の結婚でもうけた子どもが3人いる。(c)AFP