【10月14日 AFP】中国で麻薬取引の罪により死刑判決を受けた英国人男性の支持団体が13日、この男性が深刻な精神疾患を患っており、死刑は行うべきではないと訴えた。

 アクマル・シャイフ(Akmal Shaikh)死刑囚(53)は2007年、中国新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)ウルムチ(Urumqi)市で、約4キロのヘロインを所持していたとして逮捕された。支持者によると、シャイフ死刑囚は双極性障害と見られており、何者かにだまされてヘロインを運ばされたという。

 シャイフ死刑囚は08年に死刑判決を受けているが、現在、中国の最高人民法院(最高裁)が判決の見直しを行っており、最終的な判断はまもなく下されるものと見られている。中国では通常、死刑執行は判決後ただちに行われる。

 この問題を取り上げたのは、英国の法的権利に関する団体「リプリーブ(Reprieve)」で、同団体のクリフ・スタフォード・スミス(Clive Stafford Smith)代表は、シャイフ死刑囚について、医療関係者による適切な調査が行われなかったと指摘している。

 スミス代表は、ロンドン(London)で開いた記者会見で、「彼はまもなく、まさに最後の裁判に臨む。大変ひどい苦境に置かれている」と語った。シャイフ死刑囚の兄弟やリプリーブによると、同死刑囚は過去に異常な言動を行ったことがあるという。

 シャイフ死刑囚は、ロンドンに在住のパキスタン系英国人。十分な資金がないにもかかわらず、航空会社を起業しようとポーランドに向かった後、カルロスと名乗る男に人気歌手にしてあげると言われ、キルギスに行くことになった。その後、タジキスタンの高級ホテルに滞在中にバッグを渡され中国へ向かうように言われた。シャイフ死刑囚は中国入国時に逮捕されたという。(c)AFP