【6月28日 AFP】イタリアのANSA通信は27日、イタリア・ローマ(Rome)の軍事法廷が、1944年に同国トスカーナ(Tuscany)州で民間人350人の虐殺に関与したとして84-90歳の元ナチス親衛隊の9人に終身刑の判決を言い渡したと報じた。

 11人の元ナチスが裁判にかけられていたが、そのうち元ナチス親衛隊軍曹のマックス・ロイトマイアー(Max Roithmeier)被告は公判中に死亡し、ワルター・ワーゲ(Walter Waage)被告には無罪が言い渡された。

 ドイツ政府も民事当事者として犠牲者の遺族に125万ユーロ(約1億7000万円)を支払うよう命じられた。

 事件は1944年の8月19日から27日にかけて、トスカーナ州フィヴィザーノ(Fivizzano)地区のBardine di San Terezo、Tendola 、Vallaの集落に暮らす約350人が殺害されたもの。犠牲者の大半は女性と子どもだった。53人の男性が射殺され、その遺体は「パルチザンを助けるとこうなる」という警告文とともにさらされた。

 虐殺から50年後の1994年、ローマの軍事法廷関連施設の地下室で古い戸棚の中からイタリアのトスカーナ州とエミリアロマーニャ(Emilia-Romagna)州から撤退する際に戦争犯罪を犯し、起訴されるべきだった695人のナチス兵士らの記録が見つかり、この記録をもとに虐殺事件の調査が再開されていた。この戸棚は「恥の戸棚」として知られるようになった。

 トスカーナ州のクラウディオ・マルティニ(Claudio Martini)知事は、「ナチスの残虐さに苦しんできた人たちにようやく正義が行われた。65年経ったとしても、われわれはここで起きたことを忘れることはない」と述べた。(c)AFP