【5月22日 AFP】米ミネソタ(Minnesota)州で、悪性リンパ腫と診断されながら宗教上の理由で化学療法を拒否していた13歳の少年が、治療を受けさせるようにとの裁判所命令が両親に下された後、母親とともに姿を消し行方が分からなくなっている。

 ダニエル・ハウザー(Daniel Hauser)君と母親の2人は19日、同州の裁判所に出廷を求められていたが、姿を現さなかった。裁判所は母親の逮捕状を発行。また、ハウザー君についても、発見され次第ただちに養護施設に収容し、専門医の診察を受けさせるよう命じた。

 ハウザー君は1月にホジキンリンパ腫と診断されたが、化学療法と放射線治療を1回受けただけで、その後は両親の意向で薬草やビタミン剤による治療しか受けていない。今月8日に出廷した母親は、化学療法で用いられる薬剤は副作用で死に至る場合があり、化学療法は一家の宗教的信条に反すると証言していた。

 ハウザー君の担当医は19日、治療を受けなかった場合のハウザー君の余命は5年未満だが、化学療法や放射線治療を受ければ生存率は80-95%も高まると証言した。

 法廷で証拠として公開されたハウザー君の胸部レントゲン写真では、第1回目の治療の後にがん細胞数の減少が認められたが、その後、がん細胞が肥大していることが明らかになった。また、過去数週間のハウザー君の診断書には、「病状は極めて悪化」と記されている。

 ミネソタ州法では、保護者は未成年の子どもに必要な治療を受けさせる義務を負う。(c)AFP