【4月15日 AFP】(写真追加、一部更新)ソマリア沖で、海賊が殺害された救出作戦や「海賊を抑え込む」とのバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の宣誓に対し、海賊側が巻き返しを図っており、14日には新たに2隻の船舶が海賊に乗っ取られた。

 米海軍による米国人船長の救出作戦で海賊3人が殺害された12日以降、海賊が乗っ取った船舶は4隻に上っており、「アフリカの角(Horn of Africa、大陸東端の意)」の周辺海域は今まで以上に危険な状況となっている。

 欧州連合(EU)艦隊の司令当局によると、ギリシャ企業が運航するセントビンセント・グレナディーン(Saint Vincent and the Grenadines)船籍の商船「MV Irena」号が14日、アデン湾(Gulf of Aden)で海賊に乗っ取られた。同船のフィリピン人乗組員22人は無事とみられている。

 その数時間後には、北大西洋条約機構(NATO)の報道官が、レバノン企業の所有するトーゴ船籍の貨物船「シーホース(Sea Horse)」が、アフリカの角沖で海賊に乗っ取られたことを発表した。英ロンドン(London)近郊のノースウッド(Northwood)にあるNATO司令センターのショーナ・ロウ(Shona Lowe)報道官は、「2隻目の乗っ取り事件が起きた」と述べた。4月に入ってから10件目の乗っ取り事件となる。

 また、米貨物船所有者によると、ソマリア沖で同日、米船籍の貨物船がロケット弾と自動小銃による海賊の襲撃を受けたが、ほとんど損害を受けることなく逃走に成功したという。

 アフリカ諸国への食糧支援物資を輸送中だった米貨物船「リバティサン(Liberty Sun)」は、米テキサス(Texas)州ヒューストン(Houston)からケニアのモンバサ(Mombasa)に向かう途中、ポートスーダン(Port Sudan)港に立ち寄った後、14日に海賊の襲撃を受けた。同船を所有する米リバティマリタイム(Liberty Maritime)社が述べた。

 ソマリア海賊を指揮する人物の1人は15日、米貨物船「リバティサン」への攻撃は、前週末の米国人船長の救出作戦に対する報復として、米国船籍を「破壊」するためだったとAFPに話した。「今回の攻撃目的は、まったく異なるものだ。身代金のためではない。われわれの友人を惨殺されたことへの報復として、米国船籍を追跡し破壊するために特別装備した部隊を編成した」

 ソマリアの海賊は14日までに、少なくとも18隻の船舶を乗っ取り、乗員250人以上を拘束している。(c)AFP/Jean-Marc Mojon