【2月21日 AFP】イタリア政府は20日、閣議で強姦の刑罰の引き上げと自警団による警備を認めることを決めた。外国人男性によるとみられる女性暴行事件が頻発していることを受けたもの。

 今後、強姦罪に問われた容疑者は、例外なく裁判が始まるまで刑務所で身柄を拘束されることになる。アンジェリーノ・アルファーノ(Angelino Alfano)法相は、性的暴行致死で有罪になった場合、終身刑の判決が下されると述べた。

 政府が閣議で緊急政令を出してこの措置を決めたことに対し、野党は議会軽視だと反発しているが、シルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)首相は会見で、「最近立て続けに起きた事件」のため速やかな対応が必要だったと語った。

 イタリアでは、14日に14歳の少女が首都ローマ(Rome)で暴行の被害にあったほか、ボローニャ(Bologna)やミラノ(Milan)でも女性への暴行事件が起きている。

 ローマの事件では東欧出身の男性2人が起訴された。ボローニャの事件では33歳のチュニジア人男性が15歳の女性を暴行した容疑で国外退去処分を受けようとしている。ミラノで起きたボリビア人女性への暴行事件では、北米の男性が指名手配されている。

 政府の声明によると、性犯罪で有罪判決を受けた受刑者には、これまで一定の範囲内で認められていた比較的寛容な処遇が禁止あるいは制限される。また、性犯罪被害者の裁判費用は国が負担する。

 新法制定で武器を携帯しない市民ボランティアによる自警団による警備も合法化された。この活動は、反移民を掲げる政党「北部同盟(Northern Alliance)」の地盤である北部では既に広く行われている。

 昨年の首相への返り咲き以来、ベルルスコーニ首相が治安向上をうたって不法移民排除のための執拗な抑圧的政策を進めてきたことで、左翼、ローマ法王庁、および東欧諸国との間には緊張が高まっている。

 ローマ法王庁と中道左翼系野党は今回の措置に強く反対している。(c)AFP