【2月10日 AFP】昨年の米大統領選で有名になったポスターの著作権をめぐり、デザインの元になった写真を撮影・配信した米AP通信(Associated Press)とポスターを制作したシェパード・フェアリー(Shepard Fairey)氏が対立していた件で、フェアリー氏側は9日、ポスターがAPの著作権を侵害していないことの確認を求める訴えをマンハッタン(Manhattan)のニューヨーク連邦地裁に起こした。

 問題のポスターは、赤、白、青を基調にバラク・オバマ(Barack Obama)氏の肖像を描いたもので、選挙戦中に広く使われた。フェアリー氏側は2006年4月にAPが配信した写真を元にポスターを制作した事実は認めたが、このポスターは根本的に元の写真とは異なるメッセージが込められた作品であり、ポスターがAPの著作権を一切侵害しておらず、「フェアユース(公正利用)の原則」によって保護されるべきだと主張している。

 「フェアユース」はいくつかの条件を満たした場合には著作権者の許可なく報道や教育などに著作物を利用できるというという考え方で、米国でフェアユースを活用することが最も多いのは報道機関となっている。

 一方、AP通信側は同日、友好的な解決を目指してフェアリー氏の弁護士と交渉を進めていたにもかかわらず突然提訴されたことは残念だとする声明を出した。

 AP通信はこの声明で、写真の制作者でアーティストでもあるカメラマンの権利を守ることは非常に重要で、それらが不正に使用されることはあってはならないと考えていると述べるとともに、得られた収益はすべて世界各地での活動中に個人的な損失を被ったAPのジャーナリストを支援する慈善ファンドAP Emergency Relief Fundに使われることを明確にしたいと述べた。(c)AFP