【12月20日 AFP】個人情報の大規模盗難事件の疑いがあるとして捜査していたドイツ捜査当局は20日までに、事件がクリスマスケーキ1つの盗難に行き着くという意外な展開で幕を閉じたと発表した。

 ミステリーは配送会社の下請け配達員2人が配達すべきクリスマスケーキ1つを盗んだことに端を発する。盗まれたのは英単語stolen(盗まれた)と似たスペルを持つシュトレン(Stollen)と呼ばれるドイツの伝統的なケーキ。シュツットガルト(Stuttgart)の企業が、フランクフルト(Frankfurt)の新聞社フランクフルター・ルンドシャウ(Frankfurter Rundschau)の編集長に宛てて送ったものだった。

 ケーキを盗んだ容疑者2人は犯行を隠すため、ベルリン(Berlin)の銀行ランデスバンク・ベルリン(Landesbank BerlinLBB)に宛てられた別の包みからコンピューター・データの一部を取り出しケーキの包みに移すと、何もなかったかのように配達した。

 配達された包みの中にLBBの顧客数千人分の取り引きデータを見つけた新聞社は当局に通報し、個人情報盗難事件が起きたと報じたことで波紋が広がった。

 事件のわずか2週間前に経済誌ヴィルトシャフツヴォッヘ(Wirtschaftswoche)が、裏市場で2100万分人の個人データが1200万ユーロ(約15億円)で販売されていると伝えていたこともあり国民の間には不安が広がっていた。(c)AFP