【12月2日 AFP】英国の女性弁護士が、幼少時の母親からの虐待を描写した自伝を出版し、74歳の母親が名誉棄損で訴えていた裁判で、ロンドン(London)の高等法院の陪審は1日、母親の訴えを退ける評決を下した。

 コンスタンス・ブリスコー(Constance Briscoe)さん(51)は、母親が故意に腕を切りつけたり、ラジコンの飛行機を顔面にぶつけたりしたほか、おねしょの罰に棒で叩くなどの虐待を行い、最終的にコンスタンスさんを自殺未遂にまで追い込んだとして非難する暴露本を出版していた。

 これに対し、母親のカーメン・ブリスコー・ミッチェル(Carmen Briscoe-Mitchell)さんは、暴露本は「うそ」で固められた「作り話」だとしてコンスタンスさんの主張に異議を唱えるとともに、コンスタンスさんと出版元のHodder and Stoughtonを名誉棄損で訴えていた。

 コンスタンスさんは審理で、「母親はわたしのことを、不細工だとか、売春婦、間抜け、おねしょ娘などと呼んでいた」と証言。また、母親に長期間「醜い」と言われ続けてきたことで、政府から大学進学のために支給された奨学金を美容整形手術に使って顔を変えようとしたことなどを明らかにした。

 10日間におよぶ審理の結果、陪審は全員一致で母親側の訴えを退ける評決を下した。コンスタンスさんは、評決が発表された瞬間、泣き崩れて喜びをあらわにした。

 11人兄弟のひとりであるコンスタンスさんは裁判後、「家族の誰もがわたしの主張を認めようとしなかったのは、理解できないことではない。でも、児童虐待をなかったことにするのは許されない」と語った。(c)AFP