【11月21日 AFP】イタリアのナポリ(Naples)では現在、同市に拠点を置くマフィア「カモーラ(Camorra)」の実態を描いた映画『Gomorra(ゴモラ)』の海賊版DVDが売られているが、この海賊版の制作・販売を手掛けているのは、作品の題材となったカモーラ自身だとみられている。伊全国紙スタンパ(Stampa)が20日、報じた。

「驚くほどのことではない」と、マフィアや偽造品を担当する検察当局の専門家は話す。カモーラ一族は中国に出資し、そこで作った多くの海賊版CDやDVDを世界中でさばいているというのだ。

 映画『ゴモラ』は、今年のカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で最高賞のパルム・ドール(Palme d'Or)に次ぐグランプリを獲得し、来年のアカデミー賞外国語部門にイタリア代表として選出されている作品だ。正式リリースは12月3日だが、現在ナポリでは同作の海賊版が闇市だけではなくキヨスクなどでも売られているという。

 カモーラ一族はイタリア南部でも最大のマフィア。映画版の原作となった、イタリア人作家ロベルト・サヴィアーノ(Roberto Saviano)氏の原作はイタリア国内で120万部を売り上げ、世界40か国語に翻訳されている。サヴィアーノ氏はクリスマスまでに暗殺するという予告をカモーラ一族から受け、イタリアを出国すると語っていた。(c)AFP