【8月6日 AFP】(一部更新)カナダ西部の平原を走行中の長距離バス内で男性が刺殺され頭部を切断された事件で、第2級謀殺(計画性のない殺人)の罪に問われているVince Weiguang Li容疑者(40)の公判が5日、刑事法院で行われ、同容疑者が被害者の人肉を食べた上、鼻、唇、耳をポケットに入れていたことが明らかとなった。

 同容疑者は公判中、「わたしを殺して下さい」と述べていたという。

 検察側は、バスを包囲した際、警官隊が被告が被害者の一部を食べているのを目撃したと述べた。

 被告は被害者の首を切断し、耳などをそぎ落とした。また被害者の頭部で警察や見物人をからかい、「永遠にバスに乗っていなければならない」と叫び、バスを降りるのを拒否していたという。

 報道によるとこの事件は前月30日、カナダ西部エドモントン(Edmonton)からウィニペグ(Winnipeg)に向かう長距離バスがウィニペグの西約90キロの地点にさしかかったとき、被告が突然隣の席で眠っていた被害者を大型ナイフでめった刺しにした。乗客と運転手は被告をバスに閉じ込め逃げた。

 通報を受けて到着した警察隊と3時間におよぶにらみ合いの末、Li被告はナイフとはさみをバスの割れた窓から放り出し、自分も飛び降りたところを警官に拘束された。

 Joyce Dalmyn検察官によると被害者は20-40回にわたって刺されており、警察は被告のズボンのポケットから被害者の顔の一部を見つけた。

 報道によるとLi被告は2004年にカナダに入国し、新聞配達や教会の管理人など他人と接触の少ない仕事を中心に働いていた。知人らによると近年被告は精神面の問題を抱えている兆候を示していたが、支援を拒んでいたという。この精神面の問題から今回の犯行に及んだとみられる。

 被告の別居中の妻は警察に対し、被告は奇行で4日間入院していたことがあると述べた。

 Li被告は法廷では言葉を発さず、裁判官が起訴内容の深刻さを理解しているかを尋ねたときはうなずき、弁護士が必要かと問われると首を振って必要ないという意思を示したという。

 弁護士を受け入れるよう説得するためLi被告と面会した暫定弁護人Randy Janis氏はAFPに対し、「被告はまったく話をしたくないようだ。返答もほとんどなく、それも言葉を用いず、ほとんど目を合わすこともない。時折返事をするためにうなずいたり首を振ったりする」と述べ、被告は内にこもっていると評した。

 Li被告は9月8日に出廷を予定されているが、裁判官はそれまでに被告の精神鑑定を行うよう命じた。(c)AFP