【7月11日 AFP】イタリアのイニャツィオ・ラルッサ(Ignazio La Russa)国防相は11日、全国民から指紋を採取する方針を明らかにした。政府が進めるロマ人全員に指紋押なつを義務付ける政策が、欧州連合(EU)から「人種差別」と批判されたことを受け、これをかわすための措置とみられる。

 ロマ人からの指紋採取は、ロベルト・マローニ(Roberto Maroni)内相が前月26日に発表した政策で、国内のロマ人集落で暮らすロマ人とその子どもたちから指紋を強制採取するというもの。

 EUは10日、これを「人種差別政策」であるとして、イタリア政府に撤回を求める決議を採択した。

 イル・メッサジェロ(Il Messaggero)紙の報道によると、ラルッサ国防相はこうした批判をうけ「この際、国民全員の指紋を採取することにする。これならば人種差別との疑いも払しょくできるし、ロマ人の子どもたちからも指紋をとれる」と語った。

 ラルッサ国防相は、右翼政党「国民同盟(National Alliance)」議長でもある。

 キリスト教の慈善団体「聖エジディオ共同体(Sant'Egidio)」の調べでは、イタリア国内に暮らすロマ人は13万人から15万人とみられる。しかし、こうしたロマ人に対しては、犯罪や治安悪化を招くとして厳しい目が向けられている。
 
 ロマ人への指紋採取は、すでにナポリ(Naples)やミラノ(Milan)で開始されている。(c)AFP