【3月12日 AFP】ベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)で行方不明騒動が起きたソマリア出身のモデルで人権活動家のワリス・ディリー(Waris Dirie)さん(43)が「警察から売春婦のような扱いを受けた」と訴えていることに対し、警察当局は11日、これを否定した。

 ディリーさんは5日未明、ブリュッセル市内でタクシーに乗った後、行方不明になっていたが、7日午後に同市内で発見された。これについて検察当局は8日、ディリーさんは単に道に迷い戻れなくなっていただけで、ホテルに宿泊する現金がなかったためホテルのロビーに寝泊まりしていたと発表した。

 ところが報道によれば、ディリーさんはブリュッセル市内のナイトクラブを出た後、宿泊先のホテルの場所を探してほしいと警察に手助けを求めたところ、投獄すると脅されたという。この他「警察署で売春婦のように扱われた」「助けを求めた2か所の警察署に肌の色のせいで無視された」などと語ったとも報じられている。

 さらにディリーさんの弁護士は10日、「ディリーさんは乗車したタクシーの運転手に2日間監禁され乱暴されそうになったが、2日後に解放された」と発表。この説明はディリーさんが先に警察に語ったものと食い違っているが、ディリーさんの代理人によれば、ディリーさんは事実を明かしたくないため当局に事実を語らなかったのだという。

 一方、警察はディリーさんの主張を否定。「売春婦のように扱われたというのは嘘だ。肌の色が黒いからひどい扱いを受けたというのも嘘だ。彼女はコンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)米国務長官との会談を含む複数の重要会議を欠席した。出席できなかった自分を正当化したいのだと思う」と報道担当は語った。  

 また警察は、ディリーさんをパトカーに乗せて宿泊先のホテルを探し回ったとも述べている。最終的にディリーさんは、窓の清掃業者の男性と一緒にいるところを発見されたが、この男性からディリーさんが脅されていた事実はなかったことも明らかにした。

 ディリーさんは現在、ウィーン(Vienna)市内の病院に入院している。(c)AFP