【3月8日 AFP】タイ・バンコク(Bangkok)の刑事裁判所は8日、6日に同市で逮捕されたロシアの武器密売業者ビクトル・ボウト(Viktor Bout)容疑者(41)の刑務所への送致を決定した。一方、同容疑者の弁護人は、同容疑者のコロンビア左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(Revolutionary Armed Forces of ColombiaFARC)」との取引について否認している。

 ボウト容疑者は、再拘束についての審問のため同裁判所に出廷し、メディアの前で指紋採取が行われた。同容疑者は、バンコク郊外にある重警備のクロンプレム(Klong Prem)刑務所へ移送される。

 同容疑者はリラックスした様子で、混み合う法廷内にいたロシア人の友人に向けて親指を立てて見せたり、刑務所への移送を待つ間、警察官と冗談を言いあったり談笑したりしていた。

 友人だというロシア人男性は、それ以上の身元は明かさなかったが、同容疑者にタバコ3箱を渡そうとしたが、警察官から許可されなかったと語った。

 在タイロシア大使館が推薦した同容疑者の弁護人は、同容疑者は何も悪いことはしていないが、タイで裁判を受けることを望んでいると明らかにした。

 ボウト容疑者は旧ソ連の空軍士官で、アフリカの紛争地の武装勢力やアフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)、南米左翼ゲリラ、リベリアのチャールズ・テーラー(Charles Taylor)大統領(当時)などと関係しており、「死の商人」と呼ばれていた。

 ボウト容疑者の暗躍は、ニコラス・ケイジ(Nicholas Cage)主演の米映画『ロード・オブ・ウォー(Lord of War)』(2005年)の下敷きにもなった。(c)AFP/Shino Yuasa