【2月18日 AFP】英国で14日、ギャンブル中毒の男性が、自分が賭け事で大損をしたのはブックメーカー(賭博事業者)が自分の出入りを禁じなかったためだとして、英ブックメーカー大手ウィリアム・ヒル(William Hill)を相手取って200万ポンド(約4億2300万円)の損害賠償を求める訴えを起こした。

 この男性はイングランド北部タインアンドウィア(Tyne and Wear)州に住むグレーハウンド犬の調教師、グレアム・カルバート(Graham Calvert)氏(28)。ブックメーカーに対して自身の入店を断るよう頼んであったにもかかわらず、店側が十分な対応を行わなかったため損失額が膨らんだとして、損失額の肩代わりを求めている。

 訴えによると、同氏は2006年5月、ウィリアム・ヒルに対し自身の入店を拒否するよう求めた。しかしその後、新たな取引口座の開設が認められたという。

 同氏は英BBCに対し、「もし私が自分に問題があることを知りながら放置していたのなら、それは100パーセント私の責任だ。だが実際は、適切な手段を講じようと努力したのに裏切られたのだ」と語った。

 同氏は、「セルフ・エクスクルージョン(self-exclusion)」と呼ばれる出入り制限措置を利用しようとしたとされる。

 同氏の弁護士は訴訟について、ブックメーカーの社会的責任を追及する機会になると指摘。「カルバート氏本人のみならず、賭博業界全体にとって非常に重要なものだ」と述べ、ブックメーカーがギャンブル依存症の人々にどう対処するべきか、セルフ・エクスクルージョン制度を用意しギャンブルの社会的責任を宣伝しているブックメーカーに実際に責任を課すことが可能か、といった点が問われているとの見方を示した。

 カルバート氏の負債の中には、ゴルフのライダーカップ(Ryder Cup)で米国の優勝に賭け、一度の賭けで失った34万7000ポンド(約7340万円)も含まれている。裁判は18日に開廷し、5日間で閉廷する。(c)AFP